お知らせとお詫び
当サイト管理人について はじめまして、omuと申すものです。当サイトの画像の作成を担当していました。 さて、管理人の慧神奈緒ですが、心無い者の手によって、現在更新が出来ない状況下に置かれているようです。 焼け出されて一命は取りとめたという話を、人づてに耳にしましたが、詳しい話はまだよくわかっていません。 いずれ、本人の口から語られる日がくることを願っていますが、今のところそれがいつになるのかも不明です。 とりあえず、不定期にサイトを確認させていただいて、スパムコメントの整理だけを行わせていただきます。 作品を読んで下さっている方には、管理人に代わってお詫びさせていただきます。 敬具 |
第4章 別れ(1)
第4章 別れ( 1 )
君島絵里香が死んだと伝えられたのは、その日の夜のことだった。
青白い蛍光灯が照らす殺風景な廊下を進んだ突き当たりの部屋に、彼女は静かに横たわっていた。
室内に入ると見知った二人の男が私に気付いて軽く会釈をする。
「早かったな」
彼女の顔を被う白い布を外しながらそう口を開いたのは早坂仁(はやさか じん)。
警視庁捜査一課の強行犯捜査二係に勤務する若い刑事である。
絵里香と知り合ったのはこの男がきっかけだった。
「現場の状況から、自殺の線が濃厚らしい。解剖に回される前にお前に会わせたくてな」
早坂の言葉に導かれるように私は足を進める。
彼女の傍らに立つと正面に瀬崎隆一郎(せざき りゅういちろう)のしかめっ面が目に入った。
くたびれたという言葉がいかにも似合いそうな初老の刑事である。
私はその無愛想な顔に軽く会釈をしてから、彼女に目を向けた。
薄暗い部屋の中でダウンライトに照らされた彼女の白い肌ははっとするほど美しく、妖しく光っているようにさえ見えた。
言葉を発する者は誰もなかった。
横たわる死に対して、私達はあまりにも無力だったのだ。
どれくらいの時がたったのだろう。
凍ったような沈黙を切り裂いたのは瀬崎の一言だった。
「彼女の携帯の履歴。最後にかけたのは君の携帯にだったようだが・・・・どんな話を?」
その言葉から瀬崎がこれをただの自殺と考えていないことを察することができた。
彼はそういう男である。
この場所にいたのも私の話を聞くためであったのだと考えれば納得できる。
「最後に電話があったのは、今日の朝です。待ち合わせの約束をして一緒に昼食をとり、その後別れました。夕方から彼女は約束があると言ってましたんで・・・・」
その言葉に瀬崎が一瞬怪訝な表情を浮かべるのを見て取れた。
「差しさわりがなければ携帯を見せてもらいたい」
そう話しながらすでに彼は右手を伸ばしている。
私は答える代わりに携帯を差し出した。
彼は一通りなれた手つきでそれを調べてから、
「彼女の最後の発信は十五時三十一分。通信記録を調べると五分程度の会話の後、メールを一通送信している。どちらも君宛の発信だ。
ところが君の携帯はその時間電話が着信した記録がない。メールは届いているようだがね・・・・。
一応通信記録も確認したが、それらしい痕跡が見当たらないんだ。電話局ではこの時間混線が起こった形跡はないとしている。
まったく・・・・おかしな話だ」
まるで自問自答するように話した後、彼は携帯を私に渡してドアのほうへと歩きだし、思い出したように立ち止まる。
「メールの内容も不可解だ。遺書と解釈することもできるがな・・・・。まあ、なにか気がついたことがあったら電話してくれ」
振り返ることなくそういうと、彼は部屋を出ていった。
狂ったリズムを刻むような擦り切れた足音が廊下の奥に消えていくと、部屋の中はいっそう静けさを増したようにさえ感じられたのだった。
<第4章 別れ( 2 )につづく>
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君島絵里香が死んだと伝えられたのは、その日の夜のことだった。
青白い蛍光灯が照らす殺風景な廊下を進んだ突き当たりの部屋に、彼女は静かに横たわっていた。
室内に入ると見知った二人の男が私に気付いて軽く会釈をする。
「早かったな」
彼女の顔を被う白い布を外しながらそう口を開いたのは早坂仁(はやさか じん)。
警視庁捜査一課の強行犯捜査二係に勤務する若い刑事である。
絵里香と知り合ったのはこの男がきっかけだった。
「現場の状況から、自殺の線が濃厚らしい。解剖に回される前にお前に会わせたくてな」
早坂の言葉に導かれるように私は足を進める。
彼女の傍らに立つと正面に瀬崎隆一郎(せざき りゅういちろう)のしかめっ面が目に入った。
くたびれたという言葉がいかにも似合いそうな初老の刑事である。
私はその無愛想な顔に軽く会釈をしてから、彼女に目を向けた。
薄暗い部屋の中でダウンライトに照らされた彼女の白い肌ははっとするほど美しく、妖しく光っているようにさえ見えた。
言葉を発する者は誰もなかった。
横たわる死に対して、私達はあまりにも無力だったのだ。
どれくらいの時がたったのだろう。
凍ったような沈黙を切り裂いたのは瀬崎の一言だった。
「彼女の携帯の履歴。最後にかけたのは君の携帯にだったようだが・・・・どんな話を?」
その言葉から瀬崎がこれをただの自殺と考えていないことを察することができた。
彼はそういう男である。
この場所にいたのも私の話を聞くためであったのだと考えれば納得できる。
「最後に電話があったのは、今日の朝です。待ち合わせの約束をして一緒に昼食をとり、その後別れました。夕方から彼女は約束があると言ってましたんで・・・・」
その言葉に瀬崎が一瞬怪訝な表情を浮かべるのを見て取れた。
「差しさわりがなければ携帯を見せてもらいたい」
そう話しながらすでに彼は右手を伸ばしている。
私は答える代わりに携帯を差し出した。
彼は一通りなれた手つきでそれを調べてから、
「彼女の最後の発信は十五時三十一分。通信記録を調べると五分程度の会話の後、メールを一通送信している。どちらも君宛の発信だ。
ところが君の携帯はその時間電話が着信した記録がない。メールは届いているようだがね・・・・。
一応通信記録も確認したが、それらしい痕跡が見当たらないんだ。電話局ではこの時間混線が起こった形跡はないとしている。
まったく・・・・おかしな話だ」
まるで自問自答するように話した後、彼は携帯を私に渡してドアのほうへと歩きだし、思い出したように立ち止まる。
「メールの内容も不可解だ。遺書と解釈することもできるがな・・・・。まあ、なにか気がついたことがあったら電話してくれ」
振り返ることなくそういうと、彼は部屋を出ていった。
狂ったリズムを刻むような擦り切れた足音が廊下の奥に消えていくと、部屋の中はいっそう静けさを増したようにさえ感じられたのだった。
<第4章 別れ( 2 )につづく>
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コメント
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- あら。思いもよらないところからトラックバックが!!
記事中のダウンライトがヒットしたんですね。
トラックバック・・・・恐るべし!!
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- 一度読んだだけじゃ、すぐに頭に入ってこなさそうな感じなので、また読み返しにきそうです。
ひとつ気がついた事。
これ紙媒体で読みたいな~(笑)
- ぬこ様
- 申し訳ありません。
結構、構成を複雑にしようとするあまり・・・・・。
かなり読みにくいものになっているのかも・・・・。
連載が終わったら、PDF化とかして印刷できるようにしたほうがいいかもしれませんね^^
余裕があれば^^