FC2ブログ

お知らせとお詫び

当サイト管理人について

はじめまして、omuと申すものです。当サイトの画像の作成を担当していました。

さて、管理人の慧神奈緒ですが、心無い者の手によって、現在更新が出来ない状況下に置かれているようです。
焼け出されて一命は取りとめたという話を、人づてに耳にしましたが、詳しい話はまだよくわかっていません。 いずれ、本人の口から語られる日がくることを願っていますが、今のところそれがいつになるのかも不明です。
とりあえず、不定期にサイトを確認させていただいて、スパムコメントの整理だけを行わせていただきます。
作品を読んで下さっている方には、管理人に代わってお詫びさせていただきます。

敬具

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
▼ランキングに参加しています。
ランキング用人気ブログランキングBブログランキング・にほんブログ村へ
▲ポチポチっと応援お願いします。

第12章 点と線(8)

第12章 点と線( 8 )


「子供の頃の記憶が無いんです」
 
私のその言葉に瀬崎は少しだけ驚いた表情を見せた。

いったいどうしてこんな話になったのだろう。

暇を持て余していたのか、それとも娘の死の理由を知ったことで心境に何らかの変化があったのか―――。

瀬崎は自分の事、家族の事を唐突に語りだしたのだ。

普段の瀬崎からは想像も出来ないような穏やかな口調で・・・・・・。

そして、話題は私の過去へと移っていったのだ。

「事故か?」

「いいえ・・・・・・実は」
 
私は六歳の頃、両親と共に湖の近くのキャンプ場に遊びに行っていた。

そして、両親が友人達と談笑している隙に、姿が見えなくなったのだという。

キャンプ場は大騒ぎとなり、地元の警察や消防、付近の住民らが数週間にわたり捜索をしたが、私の消息は一向につかめない。

誘拐の可能性もあり、かなり大規模に捜査が行われたようなのだが―――。

月日は流れ、結局事故の可能性が高いという判断で、捜査は打ち切られることとなったのだ。

そして、それから一年半後。

両親も半ば諦めかけていた頃、私は実家の近くで偶然に発見されることとなる。

頭は大きな傷を負っていた私は、すぐに病院に搬送されて一命を取り留めることは出来たのだが―――。

それまでの一切の記憶を失ってしまっていたのである。




「そうか」
 
瀬崎はそう言って、何も聞こうとはしなかった。

「誰でも話したくない事柄の一つや二つ持っているものだ」

その配慮に私は心の中で感謝していた。

もし、聞かれたとしても私はうまく自分のことを説明できずに・・・・・・。

きっと、黙り込んでしまっていただろう。

私の記憶は七歳で白紙になってしまったのだから。

両親から聞かされた一連の経緯でさえ実のところ、何一つ心に響くものがないのだ。

そして、この記憶を無くしてしまったという記憶は、私の人生を大きく変える事となった。

両親や周りの人たちはまるで腫れ物を扱うように接し、自分自身さえ理解できない私は次第に他人と一定の距離を置くようになる。

上辺だけで付き合い、踏み込んで来る人間にはあえて自分から距離を置く。

今までずっとそうやって生きてきたのだ。

そんな私には、どこにも居場所なんて無かった。

高校を卒業と同時に家を飛び出した私は、すぐに職に就けそうな場所を転々としながら、最後に東京に行き着いたのである。

そこでの生活はいたって順調で、何の不満も無かった。

社会は上辺だけの付き合いで回り、隣人に干渉するおせっかいも少なかった。

ましてや、私の過去を知らない人達ばかり。

どこにでもいるごく普通の青年として扱ってくれたのだ。

しかし、その安堵も長くは続かなかった。

心の中ではまた、その思いがむくむくと膨らんでいく。

そんな折、独立をするという先輩に声を掛けられた私は、二つ返事で辞表を提出したのだ。

一年が経ち、二年が経ち、新しい会社も軌道に乗って大きな仕事も任されるようになったある日。

ほんの些細な出来事が、また私を蝕んでゆく。

眠りついたとばかり思っていた物が、またゆっくりと頭をもたげ始めたのだ。

ここにも私の居場所は無い―――と。
 


こうやって思い返してみれば・・・・・・。

絵里香は私にとってこの世界で唯一の、居場所と呼べる存在だったのかもしれない。

彼女がそばにいてさえくれれば、私の心は風のない湖のように静かで・・・・・・。

何の迷いもなく、ゆっくりと眠りに堕ちることが出来たのである。

まるで母親の体内で羊水に包まれた胎児のように―――。

もちろん。記憶を失った私が、そんなことを覚えているはずがないのだが・・・・・・。

もう二度とあんなに安らかな眠りに付くことは出来ないだろうな、と思いながら―――。

私は軽く目頭を押さえたのだった。


<第12章 点と線( 9 )につづく>



スポンサーサイト
▼ランキングに参加しています。
ランキング用人気ブログランキングBブログランキング・にほんブログ村へ
▲ポチポチっと応援お願いします。

この記事のトラックバックURL

http://imagina.blog115.fc2.com/tb.php/118-eb86867f

コメント

奈緒さん、おはようございます(^-^)ノ

謎だった「私」の人物像がしだいにくっきりと。
神隠し(?)も重要に絡んできそうですね~♪
すらすら拝見できる筆力、すごいです(*^。^*)σファブィ!
長文ですね。ここでも過去バナ。しんそうが近づいてきましたね。
応援ポチッと
記憶喪失の主人公が、外部から視線を浴びない「私」というのは
なにやら都合いいことありそうな視点設定ですね。

1年半もの記憶不在、その間、アブダクトでもあったのか、あちらの側から干渉があったのか、気になる。
ポチッと。
今日はいつもより早く来ちゃいましたww

「私」さんは記憶喪失だったのですね・・・
なんだか読んでいて胸が苦しくなりましたmm

応援ぽちり
みぃち様・Mr.様・銀河系一朗様・鳳鈴桜華様
みぃち様
ええ。実はこの主人公の過去。
かなり前からの伏線なのです。まったく違う出来事の中にほんの一行チラリと隠しておきました(笑)
私なんてまだまだ、これから精進させていただきます^^
応援ファヴィありがとうございます。

Mr.様
ええ・・・・なんだか、ちょっとながくなってしまいました。
二つに分けるには短すぎたので^^;
応援ポチありがとうございます。

銀河系一朗様
この告白はかなり以前のいくつかのシーンを引き寄せます。
作者の悪意でかなり分かりにくく隠されていますが(笑)
あちらからの干渉ではないようですが・・・・・・仕掛け盛りだくさんです(笑)応援ポチありがとうございます^^

鳳鈴桜華様
このシーンは、トラウマについて語られています。
小さい時の心の傷は、いつの間にか人生を変えてしまうほどの大きな傷になりかねないのかもしれません。
応援ぽちありがとうございます。
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
タンスにゴンザレス様
誤字ご指摘ありがとうございます。
早速訂正させていただきます。

結構毎日書くのは大変なんだな~と痛感しております(笑)
そのうち、一日おきに・・・・・と弱気なことを言い出すと思いますw

コメントする


管理者にだけ表示を許可する


ご利用のブラウザ、設定ではご利用になれません。

コメントをプレビューする?

Template Designed by DW99

フィードメーター - i 「アクセス数が全然伸びない…」そんな悩みをブログジャンキーが解決します! track feed
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。