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お知らせとお詫び

当サイト管理人について

はじめまして、omuと申すものです。当サイトの画像の作成を担当していました。

さて、管理人の慧神奈緒ですが、心無い者の手によって、現在更新が出来ない状況下に置かれているようです。
焼け出されて一命は取りとめたという話を、人づてに耳にしましたが、詳しい話はまだよくわかっていません。 いずれ、本人の口から語られる日がくることを願っていますが、今のところそれがいつになるのかも不明です。
とりあえず、不定期にサイトを確認させていただいて、スパムコメントの整理だけを行わせていただきます。
作品を読んで下さっている方には、管理人に代わってお詫びさせていただきます。

敬具

第14章 粉雪(27)

第14章 粉雪( 27 )


瀬崎は瞳を閉じたまま、幸せな気分でいっぱいだった。

心地よい響きの向こう側で、微かにチャイムの鳴る音がきこえている。

「あ。誰か来たみたい。お母さんかな? お父さんちょっと待ってね」
 
トントンと階段を下りていく音が聞こえて、

「はーい。少々おまちください」
 
少し遠くでひいろの声がしている。

瀬崎は心臓を鷲づかみにされた気がして、パッと目を見開いた。

そう。その日は・・・・・・・あの日なのだ。

駄目だ!! ひいろ!! そのドアを開けちゃ駄目だ。 ひいろ!! ひいろ!!

声の限り、力の限り・・・・・・。

瀬崎は叫び声をあげていた。

しかし―――。

瀬崎の声は、屋上はおろか・・・・・・この世界の何処にも響きわたる事は無かったのである。

微かに唇が動いただけで、瀬崎の叫びは声にならない。

全身がぶるぶると震えて・・・・・・。

見開かれた瞳は宙を泳いでいる。

そして―――。

瀬崎の体はひとしきり大きく跳ね上がった後・・・・・・永い息を吐き出しながら力を失ったのである。

見開かれた瞳から零れ落ちる涙をそのままに―――。

瀬崎の瞼は、二度と閉じることは無かったのである。



真っ黒な東京の空には、何処から現れたのか・・・・・・。

真っ白な雪の華がひらり、またひらりと―――。

2007年12月24日。

今年最初の粉雪は・・・・・・。

まだほのかに暖かさを残す、瀬崎の頬に舞い降りて―――。
 
溶けて流れた。



それはまるで・・・・・・。

命尽きてもなお―――。

悲しみを拭い去ることが出来なかった瀬崎の涙のようにも見えたのであった。






「もうそろそろかしら・・・・・・」
 
そう言いながら玄関を出ると、門の前まで行って通りを伺う。
 
外灯に照らされた暗い路地に瀬崎の姿が見当たらないと、とぼとぼとまた玄関の中に戻っていく。

美千代は、先ほどからそれを何度繰り返したことだろう。

「もう、とっくに帰ってもおかしくない時間なのに・・・・・・」
 
ぼそりと呟いて、左右を見回していると―――。

丁度、角から車が顔を出す。

どうやらタクシーのようである。

美千代は門扉を開けて路地に出ると、いやにのろのろと走ってくるタクシーを足踏みしながら待っていた。

少しずつ大きくるヘッドライト。

と―――。

それを遮るように、何かが目の前を斜めに流れていったのである。

「雪?」
 
美千代は手のひらを上にして、空を見上げると、

「どうりで冷えると思った」
 
と、少し微笑む。

「今年はホワイトクリスマスね」
 
美千代が瀬崎の為に用意した紺色のマフラーが、静かに―――。

テーブルの上で主の帰りを待っていたのだった。


<第15章 君の名は( 1 )につづく>



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コメント

あうぅぅぅ…
奈緒さん、こんばんは(ノ_<。)

思わずじわっと涙が出てしまいましたよ~(;.;)
こんな事になるなんて…うぅ、瀬崎さん、奥さん、そして娘さんも悲しすぎますぅヽ(´Д`;)ノ
2回ぶん一気に拝見した後、数回読み返してしまいました(>_<)ヽ
完成した後に最初から拝見すると、きっと瀬崎さんの登場してるシーンがまた違った気持ちで読めそうです。
続き楽しみにしてます(;.;)σファブィ!
えーっ、これは悲しいです。
自分の命の最期の記憶が、これから殺される娘の声だなんて。
やっぱりつらい(泣)

ポチッと。
みぃち様・銀河系一朗様
今回で、ミステリーパートは終了いたしました。
次はいよいよ、ファンタジー要素を含めた物語がかたられる・・・・はず。
どうぞ最後までお付き合いいただけることを願いつつ。

みぃち様
今回は悲しいシーンでした。
悲劇は次の悲劇を生み、そしてそれは繰り返される。
歴史は常にそれを物語っています。
しかし・・・・・・。安心してください。
せめてもの救いを、物語の最後にご用意する予定です・・・・・多分(笑)
応援ファヴィありがとうございます。

銀河系一朗様
私も、まさか瀬崎の運命がこんな結果になるとは。書き始めた頃には想像もしておりませんでした。
しかし・・・・・。
物語の最後には、皆様に納得していただけるようなエピソードをご用意する予定です・・・・・多分。
そこで瀬崎の笑顔が見れることを願いつつ・・・・。
応援ポチありがとうございます。
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このコメントは管理人のみ閲覧できます
Sichi-Ri様
誤字のご指摘ありがとうございます。

早速訂正させていただきました。

また何かありましたらよろしくおねがいいたします。
奈緒さん、お久しぶりです☆
いつもいつもコメント本当にありがとうございますm(_)m

・・・だいぶお話進んでいたのですね^^;
読むの遅くなってしまって申し訳ないです><、
それにしても・・・この章は悲しかったですね・・・
次々と明かになる真実、・・・瀬崎さん・・・ぐずっ((涙
また読みに来ますね♪応援ぽちぽちぽちww

えと。あと、報告です。【春の雪に包まれて】の続編を更新しました。
桜とアイの今後をえがきつつ、でも、(一応)メインは和樹君とゆう感じでございます。お暇なときにでも読んでみてくださいませ^^*
鳳鈴桜華様
早速、春の雪に包まれての続編一話読ませていただきました^^
今後の展開がきになりますね~。

さて、私の連載小説も終了まであと少し。

またお暇なときにでもいらしてくださいね^^

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