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お知らせとお詫び

当サイト管理人について

はじめまして、omuと申すものです。当サイトの画像の作成を担当していました。

さて、管理人の慧神奈緒ですが、心無い者の手によって、現在更新が出来ない状況下に置かれているようです。
焼け出されて一命は取りとめたという話を、人づてに耳にしましたが、詳しい話はまだよくわかっていません。 いずれ、本人の口から語られる日がくることを願っていますが、今のところそれがいつになるのかも不明です。
とりあえず、不定期にサイトを確認させていただいて、スパムコメントの整理だけを行わせていただきます。
作品を読んで下さっている方には、管理人に代わってお詫びさせていただきます。

敬具

第15章 君の名は(18)

第15章 君の名は( 18 )


2003年2月―――。
 
病院を退院した私は、普段の生活を取り戻しつつあった。

あれきり瀬崎が病室を訪れることは無かったがその代わり、人懐っこい笑顔のひいろとその養母、美千代が経過を心配して足しげく通ってくれた。
 
今までの経緯を瀬崎から聞いていたのであろう。

連絡先を交換した私達は昔話に華を咲かせ―――。

その横で美千代が時折、相槌を打ちながら微笑んでいた。

先ほど"普段の生活"と言ったのだが、私をめぐる環境は少し―――いや。

劇的な変化を遂げていた。

しがない契約社員であった私の立場はいつの間にか正社員となっており、工場から本社勤務へと席も移されていたのだ。





「こちらへどうぞ」
 
通された部屋では、今まで一度も会ったことがない"社長"がにこやかな笑顔で出迎え、

「いやぁ、君のおかげで不振だった業績がうなぎのぼりだよ。おい―――」
 
と、秘書らしき人物に目配せをする。

「受け取ってくれたまえ。とりあえずの生活費と入院費。それに若干、色を付けておいた」

目の前に差し出されたのは、特別手当と書かれた封筒。

「助かります」

私はそれを受け取りつつも、

「でも、どうして私なんかに」
 
と、疑問を投げかける。

「なんだ。何も聞いとらんのかね」
 
ぎろりと鋭い視線を受けた秘書が、そそくさと何冊かの雑誌を持ってきて、私の目の前に広げた。

「君の記事が載っている。イブの夜の英雄談としてね」

私はそれに目を落とす。

なるほど・・・・・・どの雑誌にも、事件と私の事が書かれている―――が。

その記事など霞むくらいの大きさで、誇らしげに微笑む目の前の男の顔がでかでかと掲載されていたのだ。

「少し真実とは違うがね。まあ、そんな事はどうだっていい」
 
どの雑誌も文面こそ違えど、内容はほぼ一緒。

―――犯罪の防止にわが社の人材と製品が大いなる功績をあげた。転ばぬ先の杖に是非、わが社の製品を。

という内容であった。

「防犯グッズをはじめ、その他の製品の売れ行きも好調。まさに君はわが社の救世主だ」

ほくほくの笑みで私の手を取った社長は、

「その足、まだ随分リハビリが必要なんだろう?
 協力会社が運営するリハビリ施設が練馬にあるから、そこを使うといい。
まあ、暫くは有給扱いにしておくからゆっくり養生しろ」


言いたいことだけを並べてすぐに席を立った。

「この後も取材の依頼で大忙しだよ。まったく」

秘書が開いた扉をくぐりながら、「ああ」と思い出したように天井を見上げた社長は、

「君のところにもマスコミが来るかも知れんが―――」

振り返って、口元の笑みを消す。

「くれぐれも、余計なことは言うなよ」

二人が出て行った後、私は誰もいなくなった社長室で一人封筒を見つめていた。

「なるほど・・・・・・これは、口止め料ね」
 
事実はいつもこうやって造られ、真実は人知れず闇にほうむられていくのであろう。

正直、胸糞が悪いが―――。

こんな瑣末な記事に目くじらを立てている暇など無いことを私は知っていた。

大切なのは、被害者も加害者も私の救うべき人間だった。

ただ、それだけである。

開かれていた雑誌を閉じて私は立ち上がる。

考えはすでにまとまっていた。

「有意義につかわせてもらいます」

そう呟いて、封筒をポケットにしまった私は松葉杖を突きながら社長室を後にしたのだった。

そう・・・・・・まず、やるべき事は―――。


<第15章 君の名は( 19 )につづく>



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コメント

奈緒さん、おはようございます(^-^)ノ

ひいろちゃんは救えたとして、今度は内藤を?
ラストに向かって加速中ですね♪
続き楽しみしてます~ヽ(*^。^*)σファブィ!
ひいろが無事だったのは美千代にとっても劇的な変化ですね。
よかったです。

後は内藤を探し出すのかな。
ポチッと。
ひいろさんは無事、これからも少しずつ変わっていきますね。

社長・・・。口止め料だったとは、色をつけるとは・・・またいい表現を持ってきましたね♪

次回に期待

おうえんぽちっと

何をするんでしょうか気体ですね
みぃち様・銀河系一朗様・Mr.様
みぃち様
いえ・・・・救う人はもう一人の方ですね。
もちろん内藤を何とかしようとはおもっているかもしれませんけど^^
さてさて・・・・・どうしたものか(笑)
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銀河系一朗様
ええ、それもありますが、その前にあの人を何とかしないといけないかもですね。
今晩の更新にはたして間に合うか・・・・そこが疑問(笑)
応援ポチット

Mr.様
ええ。まあ。でもなかみは大した金額ではないでしょうね~。
果たして、今月中に書き終えるのか・・・・・。
それとも、煮詰まって一日おき更新に甘んじるか・・・・・。
悩むところです。
応援ポチット

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